日本の住宅は先進国の中で最も”短命”であることはあまり知られていない。
総務庁の調べによるとイギリス141年、アメリカ103年、フランス86年、ドイツ79年に対して、日本の住宅寿命はなんと”30年”である。
「30歳でマイホームを建てて、定年時期の60歳になったら建て直しをする」・・・、これが我が国の住宅の実態なのである。
まあ、高度経済成長に背中を押されて毎年給料が上がり、ボーナスもふんだんに出るという時代であれば、なんとかなったのだろうが、現在のように給料は上がるどころが下がりボーナスも出ないような経済環境では、人生に2度どころか1度でも怖くて建てられない。
写真は住宅の柱材の比較だ。向かって右側が現在、多くの住宅で使われている3寸5分角の柱材だ(1寸が3㌢なので1辺の長さが10・5㌢ある角材)。
しかも、よく見るとわかるように、5枚の板を接着剤で張り付けた”集成材”という柱である。
集成材にはおもしろい特徴があり、できたての強度は抜群に高く、同じサイズのムクの木材と比べても強度に優れている。しかし、30年、40年という歳月を経たのち、どうなるのかはまだ誰もわからないのだ。
にもかかわらず、実に首都圏の9割以上の木造住宅にこの集成材が使われている。住宅メーカーは消費者にきちんと説明しているのだろうか。わかったうえで使っているのであればまだ理解できるのだけれど・・・・。
右から2番目が4寸(12㌢)角、5寸(15㌢)角、そして一番左側が7寸(21㌢)角である。
日本の神社仏閣で使われるようなこの7寸角を一般の住宅に使って長持ちする家づくりをしている工務店の事務所を訪れて撮影させていただいた。
気になる費用だが、さぞ高いのだろうかと思うと、3寸5分の柱から7寸に切り替えてもらって”プラス150万円”、”5寸ならプラス100万円”だそうだ。しかも国産材の柱である。
”住宅1棟総額における100万~150万円”・・・・・、解釈の仕方はさまざまだが、それで欧米並みの長持ちする住宅を得られるのであれば、前向きに検討できるのではないだろうか。
日本には世界で唯一、住宅産業界にハウスメーカーというビッグカンパニーが存在する。
住宅業界の情報が非常にクローズなのはなぜなのだろうか。
消費者はもう一度、しっかりと自らで住宅のあり方について考えていく必要があるのかもしれない。
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