先日、メディテーション音楽の作曲家である朝瀬蘭さんの演奏を聴いてきた。
メディテーションとは「瞑想」のことで、この音楽は身体にリラクゼーションをもたらしつつ、集中力を高めてくれるのだという。
新潟大学大学院医歯学総合研究科の安保徹教授の「スポーツ競技会、試合の前、試験の前、重要なプレゼンテーションの前などにメディテーション音楽を聴くことにより、リラックスしつつも集中力が高まり、持っている力を十分発揮することに繋がることが期待できる」との医学的検証の解説もあり、
朝瀬さんの曲は聴いた後に血液を調べると顆粒球の比率が増加し、リンパ球の比率が低下しており、このことは「音楽の好き嫌いに関係なく、集中力が高まったことと関係している。しかし、重要なことはその状態にあっても過度な緊張はなく、気持ちはリラックスしているから」と安保教授は説明している。
タイと日本を行ききし音楽活動をしているという朝瀬さんはとっても美しい顔をした男の人で、メディテーション音楽をやっているだけあってその語り口は柔らかで落ち着きがあり、聞く者に安心感を与えてくれる。
タイの浜辺の波の音から始まる曲には自分がすっぽりと自然に取り囲まれていくような気持ちになったし、宇宙・無限をテーマにした幻想的で悠久な曲を聴いてると、身体から無駄な力がゆっくりと抜けて、雨の日の午後にひとり閑かに雨音を聞いている木々のような気持ちになった。
曲の合間に、朝瀬さんから「皆さんでメディテーションをしてみませんか」と言われ、初めてメディテーションを体験することになった。
会場の照明が落とされ、淡い闇の中でイスの背に身体を付けずに座り、頭のてっぺんを見えない糸で引っ張られるようなイメージで姿勢を伸ばして、手のひらを上に向けて太股の上にゆたっりとのせ、目を閉じる。
目を閉じる時は「もうこの世でまぶたを開くことはなかもしれないという思いで静かに静かに閉じてください」と朝瀬さんから言われた。
続いて最も大切なのが”呼吸”なのだそうで、ゆっくりとできる限り長く息を吐く。そして深く吸って、再びゆっくりと長く細く息を吐く。
何度か繰り返していると、朝瀬さんが言うように指先などがピリピリしてくる。これは普段は呼吸が浅くて届かない血管に血液が巡って喜んでいるサインなのだそうだ。
曲を聴きながら、静かな落ち着いた声でリラックスを促していく朝瀬さんの声に耳を傾けながら時間が経ってくると、身体はずんと重くなり、しばらくすると今度は逆に軽くなり、気持ちも湖の上を歩けそうなぐらい静かでゆったりとしてくる。
「あ~、この感じ、とっても気持ちいいな」と心の中で思っていると、なんだかよくわかんないんだけど突然、すっと涙が出てきた。哀しいわけでも苦しいわけでもないのに流れた不思議な涙だった。
初めてのメディテーションは自分にとって、とても素敵な体験となった。
本当は生まれたままの姿でするのが理想的なのだそうだが、部屋でひとり素っ裸で涙を流しながら瞑想している姿は、いくら家族でも見つかったら、何を言われるかわからない。
始めるにしても身近な世論づくりからまずは進めていく必要があるだろう。
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