作家の佳川奈未さんは作家デビューする前、離婚して3人の子供を育てていくために雑誌ライターのほか3つの仕事を掛け持ちしながら朝から晩まで働いていた。
そんなハードな生活が数ヶ月過ぎたある日、身体と心のバランスを保っていたネジがポンと音を立ててはじけ飛び、生きることをどうしても続けられなくなってしまい死を選ぶことを決心する。
ひとり死ぬためにまだ日の昇る前の早朝の海へと向かう。
ところが死ぬことができない。
怖いわけではなく、誰よりも早くいったつもりが自分よりも早く来ている人がその日に限っていて邪魔をするからだ。
「神様はこんなに生きづらくしておきながら、成功するチャンスどころか、死ぬチャンスも与えてくれないのか」と佳川さんは悲観にくれる。
海では死ねないので、佳川さんは電車に飛び込んで死ぬことにして、海辺から駅へと歩いて向かう。
駅にたどり着くと駅前には大きな本屋があった。
「自分はとうとう作家になる夢も叶わないまま死んでいくんだなぁ」と心でつぶやきながら、なぜか、死ぬ前にもう一度、自分の一番好きな場所だった本屋に立ち寄りたいと思い、中に入っていく。
ぼーっとしながら、一番近くの棚のそばに立ち、そこに並ぶ本になにげなく目を向けると、一冊の本から
『ぜったい守ってあげるから!』
というタイトルの文字がバーンと佳川さんの目に飛び込んできた。
その文字を見て、佳川さんは呆然とする。
なぜなら、自分が守ってあげたいと思うものを守れず、そして自分自身も誰にも守ってもらえずひとりもがき苦しんでいた。そして死を覚悟した。 『ぜったい守ってあげるから!』なんて優しく温かなこんな言葉を誰からも言われたことなどなかったからだ。
なのに、その本がそうやって訴えかけている。そのことが衝撃だった。
佳川さんは、すぐにその本を手に取り、開き、読んで、その中にあるメッセージに涙がボロボロ流れてきて止まらなかったそうだ。
そして、“私もこんなふうに誰かを救えるものを書きたい!やっぱり書きたい!”と死のうとして冷え切った佳川さんの心に熱い思いが込み上げてきた。
結局、それがきっかけとなり、死ぬことを踏みとどまった佳川さんは出版社に書いたものを持ち込みデビュー作が生まれる。
佳川さん自身、もう一度生まれ変わったのである。
死を覚悟してなにげなく書店に立ち寄った時、目の前にあった本のタイトルという形に姿を変えた「天からのメッセージ」を佳川さんは受け取ることができた。
メッセージはそれ以前にもたえず投げかけられていたのだと思う。でも、佳川さんにとってはその日、その時が受け取る“時”だったのかもしれない。
佳川さんは「いま思えば、その言葉はその本からのメッセージでもあるのですが、まぎれもなく天が私を守ってくれているという尊いメッセージでもあったのです」に述べている。
こうした応援のメッセージ、見守りのメッセージ、悩みへの答えを示すメッセージ、愛のメッセージは、すべての人に送られている。
自分だけがわかるような形で送られているので、ニコニコ楽しみにしながら素直な気持ちで気を配って、しっかりと受け止めたいと思うし、ひとりでも多くの人にそうしてもらいたいとも思っている。
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