先日、友人にお釈迦様について素敵な話をひとつ教わった。
お釈迦様には十大弟子と呼ばれる人々がいて、その中に、「アーナンダ」という弟子がいた。
アーナンダは、美男子でしかも大変にやさしい心の持ち主だったので、多くの人々から慕われていた。
お釈迦様にはなんとなく気が引けて相談にいけない人も、いつでもやさしく応じてくれるアーナンダには相談しやすいようで、いつも多くの人々がアーナンダの元を相談に訪れていた。
しかし、とても心根のやさしいアーナンダは、相談する人の気持ち、その人の心になってしまい、悩みや苦しみをそのまま自分のこととして抱えてしまうために、お釈迦様と30年間も一緒にいるにもかかわらず悟りを開くことができずにいた。
アーナンダは、お釈迦様が亡くなるその日に自分の未熟に気づき、最後の最後に悟りを開いた人としても知られている。
本来であればもっと早く悟れたのに、人々の面倒を親身に見過ぎるあまり悟りが大きく遅れてしまった・・・、アーナンダはそんな人だった。
このアーナンダがある日、生前のお釈迦様にこう訪ねた。
「お師匠様、私は今日、頭の中でこんなことがひらめきました。私たちは『聖なる道』を追い求めているわけですが、
もしかしたら良き友を得るということは『聖なる道』の半ばを手に入れたと言ってもいいのではないでしょうか」
すると、お釈迦様は
「アーナンダよ、良き友を得ると言うことは『聖なる道』の半ばを手に入れたということではない」と言った。
それを聞き、アーナンダは
「あ~、自分はまたトンチンカンなことを言ってしまったようです。すみません」と意気消沈してしまった。
すると、お釈迦様は次のように言葉を続けた。
「アーナンダよ、良き友を得ることは『聖なる道』の半ばではなく、『聖なる道』のすべてを手に入れることになるんだよ」と。
この対話を胸の内で幾度か反芻(はんすう)しながら、
良き友を得られていることに感謝しつつ、これからも良きつきあいを続けていきたいと改めて心から思った。
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