2008年1月10日木曜日

お釈迦様は「私も幸せになりたいんだ」と言った

 2007年の世相を象徴する一文字は「偽」だった。
 「偽」という文字は紀元前1500年頃に中国で成立したといわれている。
 人の為と書いて「偽り」という文字ができたわけだが、その後、約1000年を経た紀元前500年頃に「人の為に施すのは偽り」であるということを明らかにする男がインドに生を受ける。
 お釈迦様である。

 お釈迦様は「自分の功徳のために他人に施しをするのだ」とはっきりおっしゃった。すべては「自分のためである」と言い切ったのだ。

 お釈迦様の教えに帰依(きえ)する人は旅の過程でどんどんと増えていき、最終的には1250人の大集団になったといわれる。
 その集団は、できる限り自分のことは自分でする生活を送っており、どうしても自分ではできない場合には他人に手を借りる生活スタイルをとっていた。

 このどうしても人の手伝いをもらう時のお願いの仕方が、今とはまったく異なっていた。
 自分だけどうしてもできない場合、周りに向かって

 「誰か幸せになりたい人はいませんか~」

 と声をかけていたのだ。
 「私に施しをして功徳を積んで幸せになりたい人はいますか」というお願いの仕方だったのである。

 だから、お願いして手伝ってもらった人が「ありがとうございます」と言うと、
 手伝いをしてあげた人が「いえ、いえ、幸せにしてくださって、こちらこそありがとうございます」と言っていたそうだ。

 さらにユニークなエピソードがあり、
 年輩の女性の弟子が針仕事をしようとするのだが、目が悪いために針に糸をうまく通すことができない。
 どうしてもできないので、その女性は
 「誰か幸せになりたい人はいますか~」と声をかけると、ちょうど前を通りかかった人が
 「私がやらせていただきます」
 と近づいてきた。
 目の悪い女性は針と糸を受け取ろうと近づいてきた人の顔をよく見てみるとなんとその人はお釈迦様だった。
 驚き恐縮して「お釈迦様にこんなつまらないことをお願いするなんて、とんでもありません。失礼いたしました」
 といって針と糸を取り戻そうとすると、
 お釈迦様はこう言った。
 「なんで私がやってはいけないんですか。私だって幸せになりたいんです」と。

 nozomiさんと空気きれいさんから前の書き込みにコメントをいただき、「ありがとう」について昨日考えていたら、昔聞いて「いいな~」と思ったありがとうの使い方のエピソードを思い出したのでご紹介してみました。

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