2007年12月17日月曜日

住宅を購入する際はくれぐれも慎重に

 今日は住宅金融支援機構の広報担当の人と会って住宅ローンのことについて話す機会があった。
 同機構は、かつて住宅金融公庫と呼ばれていたが、小泉前首相の構造改革のあおりを受けて民営化されてしまい現在の機構になった。広報担当の人も公庫の時代はのんびりやってたんだろうけど、「民営化してしまいましたんで、いやはや」って感じの話ぶりになんだか今は大変そうな感じ。

 わざわざ広報担当の人が訪ねてきたのは、同機構が押し進めている長期固定金利のローンへの借り換えを呼びかけていることを情報提供の面で協力してほしいということらしかったが、僕はかねてから住宅ローンについて思うことがあったので専門家の人と話せる機会が持てて内心喜んだ。

 日本の住宅業界には山ほど問題がある。
 まず、日本の住宅の平均寿命が30年であること。欧米の3分1ぐらいしかない。
 でも、住んでいる人はというと日本人の平均寿命は女性が86歳、男性が79歳で世界一である。
 住んでいる人の半分にも満たない寿命の住宅で日本人は暮らしているわけだ。

 僕は4年ほど前から住まいに関するNPO法人の活動をボランティアでお手伝いしている。この中で一般の人々からの相談も引き受けてきたが、住宅を建てること(買うこと)で人生を大きく狂わされる人が数多くいることを知った。
 また、家を建てて良い人とダメな人がいて、ダメな人が家を建てると必ずといっていいほど近い将来、金銭面で行き詰まり破綻に追い込まれしまう実例も多々見てきた。
 日本の住宅の担保は欧米のように建物が担えるわけではない。建物は10年もすれば資産価値はほぼゼロで担保になどならない。だから人の命である”生命保険”がローンを担保するのだ。
 にもかかわらず、住宅の営業マンは建てて良い人、悪い人の見境いもなく「家を建てよう、買おう」とさまざまなトリックを弄しながら甘い言葉を投げかけてくる。
 そのひとつには、「家賃を払うなんてもったいない」「今の家賃分の支払いで家が建てられます。あなたのモノになるんですよ」というものがある。

 現在の住宅ローンがどのようになっているかというと、住宅金利は日本の歴史上最も低い水準にある。でも、それにもかかわらず35年のローンで3000万円を借りると支払う総額は5000万円前後になる。最初の10年はまさに金利の支払期間のようなものなのだ。固定資産税を始めとする出費もひかえている。
 この住宅ローンについて誰から情報を得るかについて、先の住宅金融支援機構が行ったアンケート結果があるが、なんと回答のうちの80%以上が「住宅の営業マン」なのだそうだ。
 家を売りたくて仕方がなくて、売るためなら手段を選ばないような人から最も大切な住宅ローンに関する情報を得て、お願いするなんてサファリパークの草原を牛肉の固まりをしょって歩きまわるようなものだ。鳩にあしたから首を振らないで歩けと言ってもどだいムリな話なのだ。

 給料が年々右肩上がりで、ボーナスもしっかりと支給されて・・・という自分たちの親が過ごしたかつての良き時代はなんとかなったかもしれない。
 でも、当時のままの住宅ローンをはじめとするファイナンス体質のまま、30年周期でスクラップ&ビルドを練り返すような建物が連綿と引き継がれているような時代の流れの中で、病気になったり、給料が大きく落ち込んだり、仕事を失ったりするような事態に陥ったらまさしく”ゲームセット”だ。

 住宅ローンを組んでもらうことが本業であるのは重々わかっていますが、もっと消費者の立場になって情報提供をしていくほうが先々支持されるのではないでしょうか・・・・

 そんなことを大人げもなく、機構の広報の人に熱く語っていた。

 これはどうやら先日、日高あいさんのコンサートにいった時に原因があるような気がする。
 彼女の歌を聴きながら、なぜかふと自殺者のことが頭の中にくっきりと浮かんできた。
 どうしてなのかよくわかんないけど、同じ国で生まれ育った人が毎日100人以上自らの手で自らの命に終わりを告げていることが無性に残念でたまらなく哀しくなったのだ。
 住宅の返済が滞り(それはひとつの現象で、深刻な資金ショートが原因だろうが)世を去る人も多い。それを自己責任と言う人もいることだろう。じゃあ、困っている人や弱者をあっさりと切り捨てるのなら政治とはいったいなんなのだろうか。
 そんなことが頭の中のどこかに残っていて、それに関わる人には何か伝えなくちゃと思ったのかもしれない。

 それでもそんな話を真剣に聞いてくれた広報のお兄さんには明日、お礼とお詫びのメールでもしておかなくては。

 




 







 

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