2008年2月5日火曜日

おじいちゃん、おばあちゃんの「よく噛んで食べなさい」は科学だった


 前回、同志社大学の西岡一名誉教授の著書「噛めば体が強くなる」をあげて、日本人に多発するガンの原因についてご紹介したが、この本の本旨は、「噛むことの大切さ」を伝えることにあるので、そのへんの内容を少し付け加えさせていただく。

 昔は、おじいちゃんやおばあちゃんに「よく噛んで食べなさい」といわれたものだが、
 西岡名誉教授は、噛むことで出てくる唾液の研究を長年行い、「唾液には、病気や老化の原因になっている『活性酸素』を消去する大きな力がある」ということを科学的に立証した。

 前回、ここで取り上げた世界で日本人だけが口にした防腐剤で極めて発ガン性の高い化学物質「AF-2」でさえ飲み込む前によく噛むことによって多く出る唾液で無害化されるということも試験によって明らかにしている。

 また、長寿で漢方の知識にも造詣が深く、16人の子宝(最後の子供は66歳の時!)にも恵まれた徳川家康が書き残した健康で長生きできる秘訣の書「健康十訓」には、その第1訓に「一口、48回噛む」と記しているそうだ。
 西岡名誉教授は、健康ばかりでなく、ダイエット、ボケ防止、美容にも優れた効果があるとして、現在、「一口三十回の会」を設立して噛むことの大切さを訴えている。
 以前このブログでご紹介した屋久島のガジュツを原料にした漢方薬「恵命我神散」の上田先生も、よく噛むことが酵素を生み出し、身体を育てるとおっしゃっていた。
 「牛をはじめ草食動物はよく食べ物をよく噛む。草食動物はカルシウムを摂取しないのに骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が一匹もいないのはよく噛んで酵素を出しているからです。人も一緒です。昔の人はそんなこと誰もが知ってましたよ」という話にはおもわず笑いつつも、納得してうなずかされた。

 まさに唾液は“偉大”であり、おじいちゃん、おばあちゃんの教えも”ありがたい”ものだったのだ。
 「軟食の時代」だからこそ、よく噛むという教えがより大切になるのだろう。
 そして、「高齢化の時代」だからこそかつての日本のおじいちゃん、おばあちゃんがどういった存在であったのかということをもう一度真剣に考えてみる時期にきているのかもしれない。不遜(ふそん)な子供が増えたのではなく、威厳(いげん)ある大人が少なくなったためであることと同じように。

0 件のコメント: