長年、霊に悩まされる佐藤愛子さんは、邪霊の引き寄せとはまた別の強烈な引き寄せを発揮するかのように霊能力に優れた人々と巡り会っていく。
そうした特別な人々とのやりとりがこの「私の遺言」には詳しく記されていて興味深い。
霊能者の中には現在、「オーラの泉」等で有名人になっている江原啓之さんも登場している。
今でこそ日本を代表する「スピリチュアル・カウンセラー」となっているが、この当時はまだ20代の“紅顔の霊能少年”で、佐藤さんの北海道の別荘の浄霊に関わるが、若く未熟であったためか佐藤さんの願いを達せられず悩む場面も描かれている。
こうした数々の霊能者の中で、特段に優れた霊能を有する者として本書に登場するのが、「相曽誠治(あいそせいじ)氏」である。
「原始神道の真髄を究めた神道の大家。神人合一の境地を拓かれた聖者」と評され相曽氏はこの時83歳。
初対面の場面では
「・・・改札は混雑していた。その混雑の中からいかにも穏和な、『田舎の村長さん』という趣の、質素な背広に中肉中背の身を包んだ素朴な老人の姿が浮き上がるのが見えた。自身、威厳、何もない。ただ感じるのは初対面の人という気がしない、理由のわからない懐かしさのようなものだった」
と佐藤さんは第一印象を述懐している。
つきあいの始まった相曽氏は80代半ばで富士山の山頂での神事を日帰りで行い、阪神大震災を一週間前に電話で「近々、地震が来ます。ご用心なさって下さい」と注意をうながすなど、佐藤さんの常識や理解を超えた能力を垣間見せ、驚かせる。
富士山の山頂まで行き日帰りで神事をする相曽さんに「なぜそんなことができるのか」と訊ねた佐藤さんに返した答えはとてもユニークなものだ。
「天狗(てんぐ)が助けてくれますので」
発生を予測した阪神大震災の時の言葉はこうだった。
「神さまはお心を痛めていらっしゃいます」であり、
「私どもの力及ばず、とうとうこうなりました。申しわけありません・・・」
というお詫びの言葉だった。
「一億数千万人の日本人の中の、いったい何人が、神戸の震災を『神の警告』であると認識するだろう。それを声高にいう者は嘲笑されるのがおちである」と佐藤さんは思いながらも、相曽さんに訊ねずにはいわられなくなり、こう訊く。
「どうすればよろしんでしょう?」
そう訊く佐藤さんに相曽氏はひと言こう言う。
「日拝を欠かさないことです」
「それだけですか」
と念を押すと、
「それだけです」
という答えが返ってくる。
この相曽さんが強く勧めている「日拝」とは、太陽を仰ぎ祈ることである。
「太陽を仰いで太陽神の分魂(わけみたま)をいただき、毎朝、魂を更新すること」である。
「不祥事や霊障は心の乱れや身の不浄があるために魔がつけ込んで生じる。それゆえ常に心すべきことは嘆いたり悲しんだりしないことで、悲嘆する前に慎み畏(かしこ)んで神にお詫びをし、魂を入れ替えることが必要である。即ち太陽の分魂を体内に取り入れて新しいものに変えていただくーーこれを日拝鎮魂法という」
「我々の身体の丁度、お臍(へそ)の裏側に太陽神経叢(そう)がある。腹部と背骨との間に太陽のように十六条の光芒を放つ神経の束のことである。それが自律神経で、大脳の延髄の方から脊髄に伝わってきている。この太陽神経叢は自律神経を調整するので五感が適度に沈静化され、感覚は六感、七感に移って雑念妄想が遮断(しゃだん)されてやがては正しい霊感や直感の世界に入っていくことが可能になるという」
「そこでその方法だが、朝の大気の清浄な時間にまず太陽を仰いで息を吸い込み、「アマテラスオホミカミ」と唱える。この時、「アマテラス」の「ス」のところで、「スーッ」と息を吸い込み、それから「オホミカミ」とつづけ、最後の「ミ」を言い切ると、息を継がずに「アマテラス」に戻る。息を吸うのは「ス」の音一カ所だけである」
「日本の国を浄化し国の穢(けが)れを祓(はら)うには、これしかない」と相曽氏は言う。
佐藤さんは「しかし、穢れを祓うどころか、多くの人は国が穢れて行っていることにすら気がついていないのではないか」と嘆く。
このくだりは読み、2ケ月ほど前から続けている毎朝の「息長(おきなが)の呼吸法」に「アマテラスオホミカミ」の呼吸も加えた。
毎朝の日課が穢れの祓いとなり国の浄化に少しでも関われるのであればうれしいことである。
そこまで大それた事と無関係であっても、生まれたての日の出を前にして心落ち着け拝むことはとても心地よく、終えると何とも言えないすがすがしさが心身を満たすことが徐々にわかるようになってくる。
この導きに僕は感謝している。
http://kutsulog.net/cat0614-1.php
1 件のコメント:
はじめまして。
こちらのブログをたびたび拝見しています。
佐藤愛子さんの「私の遺言」は私も大好きな本です。
(母に貸したきり返ってきませんが^^;)
こちらのエントリーを拝見して、そうだこういうことを言われていた、と思い出し、私も日拝をはじめることにしました。
今日で13日めの朝になります。日の出の空は日によっていろいろで、これまで気づかなかったことに気づかされます。日が昇るにつれて、空気はこんなふうに変わるのか、雨の降った翌日は木々がこんなにも違うのか、同じ時刻にいつも会う人がいる‥
こうして季節のめぐりも感じていけたらいいなと思っています。(そしてこれが、何かしら日本のために(!)なるのでしたら、どんなにいいでしょう!)
そわかさまの毎日の記事に感謝申し上げております。
私のブログでも「日拝」を紹介しようと思います。
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