先日、都内で行われた講演会で「サザエさん」のマスオさんや「アンパンマン」のジャムおじさんなどの声を担当しているベテラン声優の増岡弘さんのことで心に残る話を聞くことができた。
当日、講師を務めた人は数年前から増岡さんと家族ぐるみのおつき合いをしていて、最近、一緒に食事をしながら増岡さんにこんな質問をした。
「声優の世界を夢見て毎年多くの若者がこの世界に足を踏み入れているみたいだけど、どういう人が大成するんですか?そういうことってわかるものなんですか?」
声優として長年のキャリアを積み多くの声優と接し、現在は専門学校の講師も務めている増岡さんは自分なりに確実にわかる方法があると答えたそうだ。
こっそりと教えてくれたその方法とは
「さようなら・・・、さようなら・・・、さようなら」と三回言ってもらうというものだった。
「さようなら」
「さようなら」
「さようなら」
すると、三回目の「さようなら」を口にした時、涙しながら言葉を発する若者が時としている。
その若者がこの世界で生き残り、大成すると増岡さんは教えてくれたそうだ。
確かに、歳を重ねるということは「さようなら」を積み重ねていくことなのかと思う時がある。
そうした意味では若き時には「さようなら」をさほど知らないのかしれない。
それでも中には、「さようなら」を知らなくても自分のこととして“感じる”ことができる豊かな感受性を持った若者がいる。
特に多くの人に感動を与える仕事に就く人にはそうした人並はずれた瑞々しい感性が必要不可欠なのであろう。
できたら、自分ひとりでいる時に、心を込めて、ゆっくりと声に出して言ってみてほしい。
「さようなら・・・」
「さようなら・・・」
「さようなら・・・」
言い終えた時に、自分の中にどんな情景が、顔が、出来事が広がるのか心すませてみるのも、たまにはいいかもしれない。
2 件のコメント:
タイトルの「さようなら、さようなら、さようなら」を見た瞬間に、泣きたくなりました。もう、あなたと会えなくなるのかと思って、怖くなったんです。
なんだか誤解を招くようなタイトルになってしまったみたいで、ごめんなさい。
僕も、講演で実際にゆっくりと心を込めて3回言うのを聞きながら、最後の「さようなら」に差し掛かった瞬間、ふっと泣きたくなりました。
自分が経験した「さようなら」のいくつかが心の中に浮かびあがってきたためです。
それだけ「さようなら」という言葉を現実味を持って受け取れるようになったということでしょうね。多分に歳を重ねたことの御陰だと思うのですが(笑)。
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